投資物件の利回りがいくら高くとも、ランニングコストも同時に高ければ利益は微々たるものになります。
費用を抑えることと、利益を増やすことは同義です。
見せかけの利回りに騙されないためにも、不動産の維持には「何の費用がどれくらいかかってくるのか」を把握しましょう。
不動産にかかる4つの維持費用
大きく分けて投資不動産には4種類の維持費用が存在します。
- 建物管理費
- 賃貸管理費
- 修繕費用(リフォーム等)
- 固定資産税・都市計画税
この4つの維持費用を当てはまる不動産ごとに表にするとこのようになります。↓
建物管理費 | 賃貸管理費 | 修繕費 | 固都税 | |
区分投資 | ○ | ○ | ○ | ○ |
アパート投資 | ○ | ○ | ○ | ○ |
戸建て投資 | △ | ○ | ○ | |
土地活用投資 | ○ |
※ ○が付いている項目は、維持費としてかかることになります。
この4項目は実質利回りの計算にも必要になるので、不動産投資の必須知識です。
それでは、これら4つの維持費用について項目別にみていきましょう。
①建物管理費
建物管理費とは、共用部の清掃や区分所有者の毎月の支払いの管理などを請け負う建物管理会社に対して支払う費用です。
管理費の相場は150円〜200円/㎡の間です。
専有面積70㎡の部屋であれば、10,500円〜14,000円程になります。
ただ、毎月の清掃回数や管理人の勤務頻度などの要因によって相場が上下しますので注意が必要です。
特にタワーマンションでコンシェルジュが常駐していたり、室内プールを備えていて、設備とグレードが充実していればその分の建物管理費はもちろん上乗せされます。
建物管理会社を選ぶ時
⑴区分所有の場合、管理会社を選ぶのは区分所有者、もとい管理組合です。
管理がずさんだったり、支払いに見合った仕事をしていなければ、総会で管理会社の変更を提案しましょう。
ただし、区分所有の場合は決議を通すために他の区分所有者の半数の賛成が必要になります。
⑵戸建てやアパートなど、一棟丸々物件を所有しているのであれば好きなように管理会社を選べます。
何社かに相見積もりをとって最も条件がいい管理会社を選びましょう。
もしくは自主管理という形で管理会社を設けずに投資家自身が管理人になることもできます。
②賃貸管理費
賃貸管理会社の主な業務としては、
- 賃借人の募集
- 家賃の集金
- 入居者からのクレーム、急な要望への対応
- 修繕やリフォーム業者の紹介
が挙げられます。
賃貸管理費の相場ですが、家賃の5〜10%ぐらいですね。
7万円の家賃であれば、約3,500〜7,000円程が毎月賃貸管理費としてかかることになります。
賃貸管理会社がいなければ、入居者がカギを無くしてマンションに入れないなどの緊急時にオーナー自ら対応しなくてはなりません。
なので、遠方の不動産を所有しているような場合には必須だと思います。
また、戸建て投資の場合は家賃の入金確認ぐらいしか業務がないので賃貸管理も建物管理も利用しない投資家もいます。
③修繕費用(リフォーム等)
戸建てやアパートなど、一棟所有の場合は修繕積立金制度がありません。そのため、オーナーは賃料収入から修繕費を捻出する必要があります。
損傷箇所が見つかればその都度手元資金で修繕する形をとるため、修繕費費用をある程度見込んで資金を貯めておくことが大切です。
目安として室内の修繕費用を表にします。↓
室内修繕(70㎡) | 表層 | 30~50万円 |
水場 | 200~300万円 | |
床貼り替え | 60~75万円 | |
建具 | 40~55万円 | |
給湯設備 | 8~12万円 | |
エアコン | 7~10万円 | |
フル内装 | 500~700万円 |
大体、新築から15〜20年ぐらいは床、建具、水場設備は持ちます。(アクシデントがなければ)
その間は表層リフォームでつなぎ、15〜20年前後で設備等に不具合が出始めたら交換しましょう。
また、エアコンは保って10年、給湯器は15年程なので水場や床より早く交換の必要が出てきます。
冬場に給湯器が壊れると結構なクレームになるので特に気をつけましょう。
一棟修繕の場合はRC、鉄骨造、木造で大きく修繕費が変わります。
加えて、建物の形状や総戸数によっても左右されるため相場の目安をなんとも伝えづらいので実際の例を2つあげます。
⑴一棟RC
総戸数:20戸
運用期間:30年
部屋:ワンルームタイプのみ
修繕総額:約2,700万円
⑵木造アパート
総戸数:12戸
運用期間:30年
部屋:ワンルームタイプのみ
修繕総額:約900万円
修繕積立金(区分投資の場合)
修繕積立金とはマンションの外壁や共用部の修繕工事に備えて、区分所有者から毎月徴収して積み立てておく資金のことです。
漏水や災害でマンションが損害を被った緊急時にも、この修繕積立金を用いて建物を修繕します。
修繕積立金は相場額が当てになりません。
たとえ現在が相場額であっても、今後の修繕計画によっては増額や一時金が必要になるケースがあります。
一応、国土交通省のガイドラインでは150〜250円/㎡が適正額として定められています。
修繕積立金についてもっと詳しく知りたい方のために、以前まとめた記事があるので貼っておきます。↓
④固定資産税・都市計画税
不動産を所有している場合、固定資産税が年に一度課税されます。加えて、不動産を都市計画区域のうち市街化区域内で所有している場合には、更に都市計画税も同時に課税となります。
この2つの税額は課税標準額という一定の基準を用いて算出できます。
所有する不動産の課税標準額は、物件の所在する市区町村の役所で評価証明書を取得すれば記載されています。
計算式は、
課税標準額× 1.4%=固都税額
です。
※都市計画税は0.3%。
また、市区町村や不動産の規模や条件によって様々な減税措置があります。
専門的な知識が多いため基本的には自身で計算するより、購入物件の所有者や仲介に頼んで納税通知書を見せてもらうのが間違えがなくオススメです。
※評価証明書に記載される課税標準額が土地で30万円、家屋で20万円以下の場合は非課税となります。
納税方法ですが、年に一度市区町村より納税通知書が届くのでそれに従い納税します。
納税を4分割に分けて行うことも可能ですので、その都度手持ち金と相談しましょう。
利回り計算に必須の知識
明確なキャッシュフローの計算は優良物件探しの第一歩となります。上記で紹介した維持費用は、どれも利回りの計算には必須の項目です。
収支計算ができれば、購入後の運用計画もスムーズにいきますし投資失敗の確率を大きく減らす事ができます。
また、見せかけの利回りに引っかかってしまうのを防いでくれますから、自分を守る武器としても利回り計算の知識はもっておきましょう。
利回り計算の仕方をまとめた記事です。↓